ギトンの秘密部屋だぞぉ

創作小説/日記/過去記事はクラシック音楽

novelette

ねじれた「迷宮」にも昧爽が訪れて  Das Labyrinth beider Nationen, wobei sich die Dämmerung des Morgens naht.

→→→昧爽の迷宮へ(1) こんばんは。 『昧爽の迷宮へ』、いかがでしたか? 次作のネタは、書いてるうちに浮かぶもの――だそうですが、すぐに次を書くのは控えて、しばらく構想を温めたいと思います。なので、1か月ほどお休みをいただきます。他のブログの更新が…

昧爽の迷宮へ(14) Ins Dämmrungslabyrinth (Novelle)

昧爽の迷宮へ(13)← →昧爽の迷宮へ(1) 堤(つつみ)は深い紺青(こんじょう)の水を湛えていた。チャドルの姿は、どこにもなかった。 「チャドラー! チャドラー!」 ぼくは声の限り叫んだが、遠くの岩山からこだまが返ってくるだけだった。 チャドルは、沼に…

昧爽の迷宮へ(13) Ins Dämmrungslabyrinth (Novelle)

昧爽の迷宮へ(12)← →昧爽の迷宮へ(14) 太極剣 (2016年 全日本武術太極拳競技会) ぼくは投石器を渡されていたが、飛距離が届かなかった。仮に届いたとしても、正確に狙った場所に飛ばなかったから、敵に当たるか味方に当たるか、わからなかった。混乱した戦…

昧爽の迷宮へ(12) Ins Dämmrungslabyrinth (Novelle)

昧爽の迷宮へ(11)← →昧爽の迷宮へ(13) KBSテレビドラマ『暗行御史――朝鮮秘密捜査団』より。 男寺党(ナムサダン)の演芸はお開きとなった。黒い両班(ヤンバン)帽を裏返しに持った座員たちが、村人のあいだを回って投げ銭(ぜに)を集める。 ここで、通…

カンフーにしちゃえば、かんたんだけど。。。  Imitante Bruce-Lee-Kung-fu mi povus pli facile verki, sed la historia realo estas alia..

こんばんは。 小説はいよいよクライマックスに差しかかってますが、ここで1回、日記を入れます。 このあと、隠密に調査地へ向かう茶山の一行は、危惧されていたとおり、保守派の差し向けた暴漢に襲われて、‥‥すったもんだの末にチャンバラ活劇と相成るんで…

昧爽の迷宮へ(11) Ins Dämmrungslabyrinth (Novelle)

昧爽の迷宮へ(10)← →昧爽の迷宮へ(12) 水原城(華城) 華虹門(世界遺産): 城郭が水原川を超える部分にある水門。西洋式石造アーチの上に朝鮮式石組を積む。 タン、タン、タタ。 タン、タン、タタ。 大小の鼓を打ち鳴らして、男寺党(ナムサダン)の一座が…

昧爽の迷宮へ(10) Ins Dämmrungslabyrinth (Novelle)

昧爽の迷宮へ(9)← →昧爽の迷宮へ(11) ソウル 南大門 茶山は不安でならなかった。 “東方隠者の邦(くに)”を震撼させた忠清道「珍山」の天主教騒動から4年、邪教禁圧を求める声は日増しに高まっていたが、正祖王と側近たちは、不気味な沈黙をつづけていた。天…

昧爽の迷宮へ(9) Ins Dämmrungslabyrinth (Novelle)

昧爽の迷宮へ(8)← →昧爽の迷宮へ(10) 男寺党 サンモノリ(吹き流し舞踏) 亭閣のある広場に着いた時には、身体(からだ)はすっかり乾いていた。浅黒い肌の少年は、座員たちに「チャドル!」と呼ばれて、声をかけられていた。老若の男ばかりの集団だった。チ…

昧爽の迷宮へ(8) Ins Dämmrungslabyrinth (Novelle)

昧爽の迷宮へ(7)← →昧爽の迷宮へ(9) ぼくの背よりも高いヨシが、水面にまで生え広がっていた。路は、ここで行き止まりのようだった。風が吹いていた。森の奥からも、ごうごうという音が聞こえる。寂しく、恐ろしげだったが、さきほどのような恐怖は感じなか…

昧爽の迷宮へ(7) Ins Dämmrungslabyrinth (Novelle)

「珍山事件」を狼煙(のろし)の合図のようにして、天主教(カトリック)は朝鮮の国教である儒教に反する、しかも天主教徒は、外国軍隊の侵略を呼び込んで、王朝を倒そうと密かに企んでいる、との非難が巻き起こった。官僚支配階級のあいだに、キリスト教と…

昧爽の迷宮へ(6) Ins Dämmrungslabyrinth (Novelle)

昧爽の迷宮へ(5)← →昧爽の迷宮へ(7) 『東洋文庫』内 「モリソン書庫」 朝のうちに、ママの部屋をあとにした。ぼくは今日は非番だが、ママは今夜も徹夜営業になるから、よく寝ておかないとしんどい。ぼくが睡眠の邪魔をするわけにはいかなかった。 地下鉄で千…

その後の「ぼく」 Der "ich" in der Prosa heutzutage.

こんばんは。 おかげさまで、作中「ぼく」にも「マサヤ」だなんて、それっぽい名前がついて、いっちょまえにホモセックスなんかしちゃって、申し分ない今日この頃でございます。 それでも、彼の「トンデモ」発言は相変らずで、さいきんは、↓こんなのがありま…

昧爽の迷宮へ(5) Ins Dämmrungslabyrinth (Novelle)

昧爽の迷宮へ(4)← →昧爽の迷宮へ(6) ママは掌(てのひら)で、ぼくの胸から下のほうまで何度も触りまわしてから、今度は舌でゆっくりと上がってきた。ぼくは鎖骨の前後を舐められるのが好きなのだけれど、きょうはそこにはこだわってくれない。首の横から耳…

昧爽の迷宮へ(4) Ins Dämmrungslabyrinth (Novelle)

昧爽の迷宮へ(3)← →昧爽の迷宮へ(5) ママの声が、遠くからだんだん近づいてきた。 「マサヤ、もう上がっていいぞ。ひとりで帰れるか?」 小声だったがそう言っているのが聞き取れた。ママは、店ではオネエ言葉だが、ぼくらに小声で指示するときは、男の口調…

昧爽の迷宮へ(3) Ins Dämmrungslabyrinth (Novelle)

昧爽の迷宮へ(2)← →昧爽の迷宮へ(4) Ted Shaw: "populaire danseur de music hall pose nu" en 1917. 店を開(あ)けて、はじめの2時間くらいは、ぼくと、その二人の客だけだった。気の置けない人たち。放っておけばふたりで話し込んでいるから楽だ。歳(と…

「ぼく」が勝手に動きはじめた! ”Ich” in der Prosa --- er handelt selbständig !

こんにちは。 きょうは小説をお休みして、日記を書きます。 「昧爽の迷宮へ」。まだ2回分アップしただけですが、早くも「異常」が現れています。「異常」は、ギトンの頭の中で起きているのか(←そーだろ! て言われそうですが)、筆先というかキーボードで…

昧爽の迷宮へ(2) Ins Dämmrungslabyrinth (Novelle)

昧爽の迷宮へ(1)← →昧爽の迷宮へ(3) 東京大学 三四郎池 「まーあくん! なに見てんの?」 後ろから太い声がかかった。振り向くと、上の遊歩道に、ここの医学部生のEが立っていた。浪人して入学しているので、だいぶ年上だ。隣りにいる女は薬学部生のD。薬…

昧爽の迷宮へ(1) Ins Dämmrungslabyrinth (Novelle)

→昧爽の迷宮へ(2) ドイツ語などという古めかしい亡霊にしがみつく者は、この国にはもういなくなっていた。いや、いるのかもしれないが、みな本心はハリウッド風の外套のしたに隠しこんで、とっくに転業したように見せかけていた。大学のドイツ文学科には、も…