ギトンの秘密部屋だぞぉ

創作小説/日記/過去記事はクラシック音楽

心が折れるとき、情は屈折する Es bricht ihm so das Herz...

年末なんだから、ちょっと贅沢しようか……などと思って、夕食のメニューに思いついたのはウナギ←

ウナギって冬かよ?って、贅沢で思いつくものったら、ウナギしかないんだからしょうがないんです。なんならフグでもいい。とにかく手間がかからないで贅沢なもの……、などと妄想しながらスーパーへ行ってみると、

鮮魚売り場の半分がオセチに占領されていて、ウナギもフグもありませぬ。あるのはサーモン、えび、にしん、カズノコ。。。

まだお正月じゃないのに、食べる気になるかって、けっきょくいつもの定番:……ギョーザ・スープになってしまったんですよねえ。

駅を抜けて線路の向うの、もとデパートだったビル。デパートがつぶれたあとは、上はノジマデンキとかユニクロ、地下は肉中心のスーパーになってる。そこへ行けば、ウナギもフグもあるんだけどな。あしたは行ってみようかな‥‥

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たいした距離じゃないのに、あいだに線路があると、すごく遠くまで行って来る気がするんですよね。そんなことないか。でも、ちょっとした遠足、くらいの気合入れないと、なかなか向う側へは行けないんです。

それでも、ここはまだ線路の幅がそれほどじゃない。JRと私鉄合わせて8本くらいかな……駅の近くで。

ぼくが子どもの頃いたところは、東北本線の操車場の近くで、線路の幅といったら、ひとつの町がそっくり入ってしまうくらい。線路の向う側は、行ったことのない別世界でした。

向う側へ行く道は、まっ暗な「地下道(ちかどう)」が1本あるだけ。その町では、「地下道」は固有名詞で、ぼくは幼稚園や近所の子から「地下道」の話を……、とても恐ろしい、とても誇らしげな冒険物語のように聞かされたものでした。。。

 

「線路の向う側」も、こちら側と同じ世界だ、ということがわかるようになって、‥‥それが当り前になってしまうと、「地下道」の記憶は頭から消えてしまう。。

ぼくは旅をすることが多くなったけれど、なにしろお金がない。そういうとき、「こちら」の世界には‥、 いや、こちらではなくて、ふだん過ごしている世界から見たら「向う側」なんだけど、‥、 当時は、「K会館」という宿泊施設のチェーンがあって、ぼくら若い者は、ほとんど無料で泊まり歩くことができた。地元の「こちら」のおじさんたちが“一夜の嗜み”のために利用する――それさえ我慢すれば、ほとんど宿代なして旅をすることができたのです。

無料になるだけじゃない。すっ〇〇かにされて、嗜まれたあとで、「おこづかい!」とおねだりすれば、くれたんだと思う。そうしていた子もいたろうと思う。ぼくはねだったことはなかったけれど、フレンドリーな人は多かった。いろいろなことを教えてもらった、〇っ〇〇〇で乗っかられながらね…

それからまた、ずいぶん時間がたってしまって……、「K会館」の記憶もすっかりなくなって、こんどは、ぼくのほうが旅先で呼び出されるようになった。「旅の人」ということで、あとくされがないと思うんだろうな、とりあえずやることは決まっている、みたいな。。。 いきなり呼び出されて慌てるし、ぼくにも予定があるからできるだけ崩したくない。もちろん、「やる」のはいやじゃない。‥‥うううん、いやどころか、降って湧いた僥倖というか。。。 でも、おカネは渡したことがない。そういう習慣がないから。コトのあとで所望されたときは、相手の都合を見て、タバコを1カートン買って渡すとかしていた。

そしてその差し出された手は、誰か、つかんで引っ張り上げてほしい……という“溺れる者”の手だったことを、ずっと後になって知ることになった。。。。

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